森の自然倶楽部のイベントは先月、先々月と2回続けて中止、久しぶりの開催を参加者の方とともに喜びました。
今回は猛暑の都会を離れて、標高の高い富士山3合目から富士吉田口五合目を目指しました。
前半はほとんど人が行き交うこともないコメツガ、シラビソなどの高木針葉樹の原生林、後半は富士山の歴史を感じ周辺の雄大な景色を堪能できる変化に富んだコースでした。
河口湖方面から大混雑するバスに乗り、標高1700mほどのスバルライン3合目バス停に降り立つと、ここは静寂が広がる苔むす針葉樹林帯です。ようやくここから歩き始めです。
各班それぞれに小さな花を咲かせているラン、イチヤクソウの仲間が発見されるたびに歓声が上がります。序盤ではミヤマタニタデの微小な花の美しさや、視力の限界に挑戦するようなイワセントウソウの実など発見されたようです。徐々に森の奥深くに歩みを進めると、自然のままに倒れこむ木々が行く手を遮ります。
いくたびも潜り抜けたり乗り越えたその先で、キソチドリやミヤマフタバラン、コイチヨウランなどが咲いているところにさしかかると、だんだん渋滞してきて先に進めません(笑)
コバノイチヤクソウやジンヨウイチヤクソウ、イチヤクソウにもいろいろあるのを見比べながら高度を上げていきます。
奥庭山荘の手前あたりから急に樹高が低くなり、足元にはコケモモのカーペット、白い霜が降りたようなハナゴケがふわっとした表情を見せてくれました。奥庭山荘天狗岩付近の草原ではヤナギランやムラサキモメンヅル、ヒメシャジンが咲き始め、いよいよここから森林限界を超えていきます。
このあたりでは、わずかにある水辺に集まる鳥たちの姿が見られます。この日は木の上からホシガラスが見下ろしていました。
昼食後お中道に向けて、スコリア(火山噴出物の小石)をザクザク踏みしめながら行きます。標高2300mあたりまで、ちょっと苦しいひと登りが終わると平坦なお中道の道に出られました。この日は晴れて富士山の山頂まで見上げてることができました。噴火後にまだ植物が侵入していない一見荒野の景色の中で、イタドリやオンタデの群落、カラマツの芽ばえやダケカンバとミヤマハンノキの林を縫うように進んでお中道は再び森の中へ入っていきます。森に入るとハクサンシャクナゲがたくさん咲いていて、再びイチヤクソウの群生にも出会えました。
最後は歩きやすい道で、ご参加いただいた皆様のホッとした表情を見てスタッフ一同も安堵し、予定のバスに乗り込んで無事解散となりました。
高橋まり子
コメント
お疲れ様でした
場所が変われば、花の種類も変わり、多摩地域では見られない、可愛いランをたくさん見る事が出来とても嬉しかったです。
帰途、電車の中でも同じグループ、参加者の方と、ワイワイと感想、今後の事など、お喋りしながら長い帰路、楽しく過ごしました。
富士山麓、また違う場所には違う花があるのでしょうか、また見たいなと思いました。
ありがとうございました。
中谷さん、
いつもコメントを送っていただきありがとうございます。
富士山での自然観察ではランやイチヤクソウの仲間など、特に菌類と共生(あるいは寄生)している植物が多く見られました。おそらくは富士山の厳しい自然の中で生き抜くために、植物もさまざまな工夫をしているものだと思います。
今回班長を務めた吉原さんから以下のコメントが入りましたのでお知らせします。
中谷さんは、花の観察がお好きなので、富士山麓の花を簡単に見られるのは、富士山こどもの国はいいかなと思います。
ここは、富士山南麓900mの冷温帯という気候帯にで、普通の植物から環境省の絶滅危惧種選定のものまで、約800種類以上あるそうです。
山野草をガイドが案内する自然観察会も定期的に実施されています。
入場料 大人830円 65歳以上無料(身分証明書提示)
・富士山こどもの国 kodomo.or.jp
土・日・祝日のみ、JR東海道線「富士駅」から路線バスが運行しています。
往復1便のみの運行となりますので、ご利用の際はご注意ください。
運行状況や最新の時刻表は、富士急静岡バスのホームページでご確認ください。
往路 JR富士駅 / 08:45発 → 富士山こどもの国 / 09:35着
復路 富士山こどもの国 / 17:04発 → JR富士駅 / 17:55着
これからも、森の自然倶楽部をよろしくお願いします。
情報ありがとうございます
参考にさせていただきます。