【スタッフの投稿】夕日の滝から金時山 <番外編>トウカイスミレvs.ヒメミヤマスミレ

先にHPにスタッフの投稿として掲載した内容に追加して、番外編としてアップします。

実は道中で同定できないスミレを見つけました。
以下のスミレです。皆さんは何スミレと思われますか?


同行者の間で意見が分かれました。
2023年4月(当月)に新種として発表されたばかりのトウカイスミレではないかという意見と、ヒメミヤマスミレではないかという意見です。
トウカイスミレの新種としての発表は、日本のスミレ属としてはなんと26年ぶりということです。
そうだとするととても話題性があります。

花柱上部の膨らみと萼片の付属体、そして分布域を考えるとトウカイスミレが有力です。
一方、側弁の毛と花の色、葉の形からするとヒメミヤマスミレが有力です。
同行者では決着がつかず、ここは山と渓谷社「日本のスミレ」の著者であり、トウカイスミレの登録の際にタイプ標本を提供されたいがりまさしさんに聞いてみようということになり、高橋が質問したところ以下のような返信がありました。

「ちょっと確定には至りませんが、フモトスミレあるいはヒメミヤマスミレだと思われます。」

ということで、残念ながらトウカイスミレ説はなくなりました。
写真では大きさが伝わらないので、どちらかということだと思いますが、実際に見たイメージからはフモトスミレよりも大きく、ヒメミヤマスミレあるいはヒメミヤマスミレとフモトスミレの交雑種ではないかと思われます。

その後、分布域およびヒメミヤマスミレとフモトスミレの種の分け方に関しては以下のようなコメントもいただきました。
「ヒメミヤマスミレとフモトスミレは、地域によっては連続的で、分ける意味がない場合もあります。神奈川県ではそう判断しているのだと思います。一方、不稔性の雑種も見つかっており、分けないわけにもいかないというのが現状です。」

スミレの世界も複雑ですね。
スミレもいよいよ最終ランナーの季節になって来ました。
残された期間に、今年のスミレを精一杯楽しみましょう。

岡本俊彦

 

 

 

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