前日の雨はどこにやら、朝から真っ青な空が広がり、気温は低めなものの暑すぎず寒すぎず、快適な気候の中で開催されました。
人里(へんぼり)でバスを降りてはじまりの会を行ってから、人気のある人里バス停脇のヤエベニシダレザクラ(八重紅枝垂桜)から観察を開始しました。満開を迎えた桜は、ここ1-2日の雨に打たれて僅かに散り始めていましたが、とても美しい姿を見せてくれました。でも参加者の皆さんは、この後も次々と美しい風景を満喫することになります。
浅間嶺の尾根には、人里峠へ上がる山道を登ってゆきます。その道中、路脇や川岸、空き地などにさまざまな花が現れて、なかなか前に進めません。スミレではヒメスミレ、タチツボスミレ、オトメスミレ、アカネスミレ、オカスミレ、エイザンスミレ、ナガバノスミレサイシン、マルバスミレ、ヒナスミレなどが顔を出してくれます。スミレも色や形の変異があるので、まず植物全体の特徴を捉えるようにするのがお勧めです。マルバスミレはいつもニコニコしている食堂のおばちゃん、エイザンスミレは気品のあるお嬢様、ヒナスミレはちょっと頬をピンク色に染めた可愛らしいプリンセスなどと訳のわからないことを解説しながら人里峠までの急な斜面を登りました。
ヒメスミレを観察中
ナガバノスミレサイシンの観察中
マルバスミレ
エイザンスミレ
ヒナスミレ
浅間嶺の展望台付近ではエドヒガンが満開を迎えており、いくつかある枝垂れ桜と共に辺りをピンク色に染めています。この時期には珍しく富士山がくっきり見え、奥多摩の山々が手を伸ばせば届きそうなほど近くに見えます。
浅間嶺からの富士山
途中には広範囲に皆伐をした中を歩く場所もあり、その高度感にちょっと腰が引けながらも、陽が当たってたくさんの花が咲いている道を歩いて行きます。カタクリやミヤマエンレイソウ、ニリンソウ、モミジイチゴなどが目を惹きます。見上げれば雲一つない空の下にまさに「春山淡冶 として笑うが如く」風景が続き、思わずうっとり。
ミヤマエンレイソウ
モミジイチゴ
降りでは沢沿いの道になり、また違った植物が出てきます。ミツバコンロンソウ、ヨゴレネコノメソウ、ツルネコノメソウ、ハシリドコロ、ツルカノコソウなどです。
里に降りてから、もう一つの目玉である払沢の滝に向かいます。全長60メートルと言われる4段の滝の下2段までしかみることはできませんが、それでもなかなかの迫力です。ここは東京都では唯一日本の滝100選に選ばれている滝です。周辺の道路は整備され、道沿いにはヤマルリソウやコチャルメルソウなどが咲いています。楓が多くあり、秋の紅葉のシーズンも良さそうです。
払沢の滝
ヤマルリソウ
「高尾山に引けを取らないスミレの多さにびっくりした」「ちょっと疲れたけど、素晴らしいお花畑街道でした」「山笑う春を満喫できた。ヤマルリソウが何と言ってもきれいだった」「ミツバコンロンソウ、ツルカノコソウ、ミヤマエンレイソウ、ハシリドコロなど地味だが、気になっていた草花を確認出来て良かった」などの感想をいただきました。
参加者の高木さんからお送りいただきました。人里バス停の八重紅枝垂
上皇様御成婚造林地
岡本俊彦
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